2019.03.08

技能について

こんにちは。浜松市南区の自転車屋さんbicycleNOUERCAFEです。

先回、在庫していたスポーツタイプの自転車が、ご縁あってお買い上げいただいた件をお話しました。

その自転車。実は製造上の不良が見つかって、何とも歯がゆい思いをしています。

人の命を乗せて走る乗り物にあって、有ってはならないような不良でした。症状を聞いて、分解点検してみると、頭にクエスチョンマークとビックリマークがいくつも並ぶような光景に、何が起きているのか理解するのに5分ぐらい掛かりました。

外観上は何も変わりなく、動作も問題なかったものが、乗車して一定時間負荷を掛けた結果、ボロが出た。というような感じでしょうか。

内容については触れません。言い訳するつもりもないので。

それを見つけ出せるかどうかも、自転車屋としての腕ですから。それが出来るようなセンスを身に着けるのが、私の課題ということです。

過去、比較的廉価な自転車を扱っていて目を疑うような不良はいくつか見てきました。そういう仕事を平気でしてしまう事が、私には信じられませんでした。

ひと昔に比べると、今は、時間と手間を掛けて人を育てるということが軽く見られています。マニュアルや生産現場の仕組み、あるいは最近だとバーチャル技術によって可視化された映像を見ながら作業が出来るようにもなっています。誰でも熟練の度合いに左右されず、所定の生産性を上げられるように様々な工夫がされていますね。

ただその中に、何か想定と少しでも異なる状態が発生したときに、正しくトラブルシューティング出来る技能までがカバー出来ているのか、疑問に思います。

『何か変だ。』

そう感じる技能というのは、一朝一夕に養えるものではありません。どれだけ机に向かって勉強しても身に付くものではないし、もちろんマニュアル化など出来ません。暗黙知の可視化は難しいものです。ヒトの知能は、それほどに高度なもののはずです。

かつて、日本のモノづくりは過剰品質であるということが言われました。今でも、もうモノづくりの時代は終わったということを言う人はいます。でも、我々はモノに支えられて暮らしています。健康や命に関わるモノも多いです。そうした中で、確かなモノづくりを支えるには、過剰だと言われるぐらいのこだわりを持って経験値を積む努力が欠かせないだろうと、私は、想うのです。

ITとかAIとか。情報技術で技能習熟をカバーしようとする方向は今後も変わらないだろうし、それはそれで未来を開く端緒にはなるでしょう。それでも、どこかで私は、『人のちから』を最後まで信じたい。

もう一言。

『下積み』などというものは、時間の無駄である。という論調には、私ははっきりと反論します。無駄になる経験など、どこにもない。と。